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B型肝炎ワクチンの定期予防接種化

B型肝炎ウイルス(HBV)は、輸血や出産に伴う母児感染で感染するといわれていました。献血の際の検査で輸血による感染は防ぐことができ、HBVのキャリアーである母親から出生した児に対しては出産後すぐにγグロブリンの投与とワクチン接種により母児感染を防止することができると考えられていました。しかしそれだけではHBV感染者をなくすことはできず、日本のキャリア(保菌者)は110~140万人、新たな感染者は年間5000~10000人いると推定されています。HBVに感染すると、長い年月を経て、肝炎から肝硬変、そして肝がんへと進展する危険があります。これを防ぐためには感染予防のワクチンしかありません。HBVはキャリアの血液だけでなく尿、唾液、鼻水、汗、涙、精液などの体液にも出現し、感染力を持ちます。したがって集団生活の中で感染する機会は十分にあるわけです。

世界の趨勢はユニバーサルワクチンです。つまり、一部のハイリスクの人だけに接種するのではなく、すべての人にワクチン接種をして集団を免疫して感染症から守る方策がとられています。日本もようやく今年の10月1日から、生後2か月から1歳までの乳児全員を対象にB型肝炎ワクチンの定期接種が始まります。今回の対象者は平成28年4月1日以降に生まれ児のみで、1歳のお誕生日の前日までの期間です。生後2か月から3回接種します。標準的には、2か月3か月、8か月が推奨されています。ヒブや肺炎球菌ワクチンと同時接種が適当です。さらに千葉市では、8月1日から前倒しで開始しています。是非、2か月になったらB型肝炎ワクチンを忘れず接種して下さい。また、今回対象にならなかった方も、個人のみならず社会全体を守るという観点から、任意接種ですけれども接種をお勧めします。接種年齢は生後2か月以降でしたら、成人に至るまで接種可能です。ご不明の点は当院にご相談ください。

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